制御の基礎

サーマルリレーとは?
モーターを守る過負荷保護の基本をやさしく解説

サーマルリレーは、モーターに負荷がかかりすぎたときに異常を検知し、 マグネットスイッチを止めるためによく使われる保護部品です。 動き方とリセット時の注意点を、現場目線で整理します。

向いている人

  • 制御盤の中でサーマルリレーが何をしているか整理したい人
  • マグネットスイッチとサーマルリレーの関係を理解したい人
  • モーターが過負荷で止まる流れを、図で追えるようにしたい人

まだ不要な人

  • まずは入力・出力や接点の基本から押さえたい人
  • マグネットスイッチの役割がまだ曖昧な人
  • モーター制御より先にラダーの読み方だけを整理したい人

先に結論

  • サーマルリレーはモーターの過負荷を検知する保護部品です。
  • 異常時は制御側の接点を開いてマグネットをOFFにする流れで止めます。
  • トリップ後は、原因を確認してからリセットすることが大事です。

この記事でわかること

先に結論:サーマルリレーは「モーターを過負荷から守る役」

サーマルリレーは、モーターに流れる電流が大きい状態が続いたときに動作し、 マグネットスイッチをOFFにしてモーターを止めるための保護部品です。

名前だけ見ると少し難しく感じますが、考え方はシンプルです。 モーターに無理な負荷がかかって電流が増え、その状態がしばらく続くと、 サーマルリレーが「危ない」と判断して制御側を切ります。

先輩

先輩 サーマルリレーは、モーターが重い負荷で無理をしているときに、止めるきっかけを作る保護部品だよ。

新人

新人 つまり、サーマルリレーが直接モーターを動かすというより、異常時に止める側なんですね。

先輩

先輩 そう。特に大事なのは、トリップしたら原因確認してからリセットすることだね。

サーマルリレーとは?

サーマルリレーは、モーター保護でよく使われる部品です。 制御盤の中では、マグネットスイッチの下や隣に取り付いていることが多く、 モーターに流れる電流を見ています。

モーターに負荷がかかりすぎると電流が増えます。 その状態が続くと、サーマルリレー内部のヒーターやバイメタルが反応し、 接点が切り替わってマグネットスイッチをOFFにする流れになります。

サーマルリレーとは何かを示す制御盤内の図解
サーマルリレーは、モーターの過負荷を監視し、異常時にマグネットスイッチを止めるための保護部品です。

主回路を直接切る部品として見るより、制御側を止める部品として見る

サーマルリレーは、主回路の大きな電気を直接バチッと切るというより、 制御回路側の接点を開いてマグネットスイッチをOFFにする、という見方をすると追いやすいです。

サーマルリレーの基本の動き

サーマルリレーの動きは、ざっくり言うと 負荷が増える → 電流が増える → 熱で動く → 接点が開く → マグネットがOFF という流れです。

サーマルリレーが過負荷を検知してモーターを止める流れ
過負荷が続くとサーマルリレーが動作し、制御回路側を切ってマグネットスイッチをOFFにします。

1. モーターに負荷がかかる

搬送物が重い、機械が固い、回転部が引っかかるなどで、モーターに負荷がかかります。

2. 電流が増えて熱くなる

負荷が大きい状態が続くと電流が増え、サーマル内部のヒーターやバイメタルが反応します。

3. b接点が開く

サーマルリレーの接点が切り替わり、マグネットスイッチのコイル側が止まります。

4. モーターが止まる

マグネットがOFFになり、主回路の接点が開いてモーターへの電源が止まります。

一瞬の負荷ではすぐ動かないことが多い

サーマルリレーは、瞬間的な負荷変動ですぐに動作するというより、 過負荷状態がある程度続いたときに動作するイメージです。

マグネットスイッチとの関係

サーマルリレーを理解するときは、マグネットスイッチとセットで見ると分かりやすいです。 マグネットスイッチはモーターへ行く主回路を入切する役、サーマルリレーは異常時にそのマグネットを止める役です。

部品 主な役割 現場での見方
マグネットスイッチ モーターなどへ行く主回路を入切する PLCや押しボタンの指示で、実際に大きめの電気を通す役
サーマルリレー モーターの過負荷を検知して、マグネットをOFFにする 異常時に止めるための保護部品として見る
PLC出力・押しボタン マグネットのコイルをON/OFFする指示を出す 制御側の指示役として見る
新人

新人 マグネットスイッチがモーターを動かして、サーマルリレーが異常時に止める、という分け方ですか?

先輩

先輩 その考え方でOK。サーマルがトリップすると、マグネットのコイル側が切れて、結果的にモーターが止まる流れだよ。

トリップ後のリセット・確認ポイント

サーマルリレーがトリップしたときに大事なのは、すぐにリセットボタンを押すことではありません。 まずはなぜトリップしたのかを確認することが大切です。

サーマルリレーのリセットと確認ポイント
トリップ後は、原因確認、表示確認、リセット、設定確認の順で落ち着いて見ます。

原因を確認する

過負荷、モーターの拘束、配線のゆるみ、異常発熱などがないか確認します。

トリップ表示を見る

赤い表示や飛び出し、リセットボタンの状態などを見て、トリップ状態か確認します。

原因を取り除いてからリセット

原因が残ったまま何度もリセットすると、モーターや配線を傷める可能性があります。

設定値も確認する

電流設定値が低すぎても高すぎても問題です。モーター定格と合っているか見直します。

原因を直さずに何度もリセットしない

サーマルが何度も落ちる場合は、どこかに無理がかかっている可能性があります。 リセットだけで復帰させ続けるのではなく、負荷側・配線側・機械側を確認する方が安全です。

現場で見るときの注意点

サーマルリレーは、ただ付いていれば安心という部品ではありません。 設定値、リセット方式、モーターの定格、負荷条件が合っているかを見る必要があります。

  • 電流設定値がモーター定格に対して極端にズレていないか
  • 手動リセットか自動リセットか
  • トリップした原因が負荷側なのか、配線側なのか、モーター側なのか
  • マグネットスイッチとサーマルリレーの組み合わせが適切か
  • 何度も同じ停止が出ていないか

設定値は「落ちないように上げる」ものではない

サーマルがよく落ちるからといって、原因確認をせずに設定値だけ上げるのは危険です。 本当に負荷が重いのか、機械が固いのか、配線やモーターに異常がないかを先に確認します。

まとめ:サーマルリレーはモーターを守るための安全役

サーマルリレーは、モーターの過負荷を検知して、マグネットスイッチをOFFにするための保護部品です。 マグネットスイッチが「動かす役」なら、サーマルリレーは「無理が続いたときに止める役」と考えると分かりやすいです。

特に現場では、トリップしたあとにリセットだけで済ませないことが大事です。 原因を確認し、設定値や負荷条件を見直すことで、同じトラブルを繰り返しにくくなります。